3-6. 転写後のできごと:RNAの加工と成熟
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転写されたばかりのRNAがそのまま使われることはほとんどなく、RNAはさまざまな加工を受けて成熟する
成熟方式には、限定分解、化学修飾、スプライシング、塩基置換など様々なものがある
RNAの加工・成熟様式
真核生物mRNAの末端修飾(キャッピングとポリA鎖付加)
スプライシング(内部配列の除去)
塩基の修飾
RNA編集
限定分解、トリミング、逆転
1) mRNAの末端修飾
真核生物では転写直後のmRNA(pre-mRNA)は末端が修飾されている
5'末端には7-メチルグアノシンが結合してキャップといわれる構造ができる
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キャップ構造はmRNApの安定化とスプライシングや翻訳の効率化に必要
pre-mRNAは翻訳終結部位の下流にあるポリAシグナル(AAUAAA配列)の約30塩基下流で切断され、その後アデニル酸(AMP)が20~200個重合したポリA鎖が付加される
ポリA鎖は3’末端の保護のほか、翻訳の制御にもかかわる
2) スプライシング
スプライシング
RNAの内部が除かれて両端がつながる現象
真核生物の多くの種類のRNAに見られる
成熟RNAで除かれる部分をイントロン、残る部分をエキソンという
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mRNAのスプライシングの場合、スプライシング連結部分の上流部分(スプライシングドナー)と下流部分(スプライシングアクセプター)には共通の塩基配列がある
反応は複数のsnRNA(低分子核内RNA)とタンパク質によって進む
このため、真核生物のゲノム遺伝子を大腸菌の中で発現させてもスプライシングが起こらないため、遺伝子が正常に機能することはない
選択的スプライシング
エキソンが複数ある場合、特定の内部エキソンが選択されてmRNAに入る現象
イントロンが入る場合もある
シススプライシング
1つのmRN前駆体をもとにしたスプライシング
図3-10
トランススプライシング
複数のmRNA前駆体間で起こるスプライシング
3) その他の加工
特殊塩基
塩素が化学修飾される
tRNAやsnRNAでよくみられる
e.g. シュードウリジン
RNA編集
新生RNAの塩基がほかの塩基に置換
e.g. シトシンの脱アミノ反応→ウラシル
ある塩基が欠失/挿入
限定分解
新生RNAが限定分解を受けて成熟する例もしばしばみられる
動物細胞の45S rRNA前駆体は数段の限定分解を経て18S, 5.8S, 28SのrRNAになる
トリミング
miRNAは長いpri-miRNAとして合成された後、末端が削り取られて(トリミングされて)pre-miRNA→miRNAと変化する
逆転
RNA末端の連結の後に別の場所で限定分解が起こり、内部配列が逆位する
memo: 核外輸送
真核生物では修飾を経た成熟mRNAは細胞質に輸送される
このときエキソン接合部にはmRNAの輸送や異常mRNAの分解にかかわるエキソン接合部複合体(EJC)が結合する必要がある
このため遺伝子組換えによって真核細胞でタンパク質を発現させる場合、ベクターにスプライシングのドナーとアクセプターの配列(つまりイントロン1個分)を組み込ませる必要がある